アルツハイマー病の治療ADEARサイト
- アルツハイマー病はどのように治療しますか?
- アルツハイマー病の治療のために、現在どんな薬が利用できますか?
- 行動・心理症状に対処するために利用できる治療法はありますか?
- 可能性のある新しい治療法としてどのようなものが研究されていますか?
- 臨床試験とは何ですか?
アルツハイマー病はどのように治療しますか?
アルツハイマー病は複雑な病気で、なにかひとつの介入によって進行を遅らせ、予防し、治癒できるという可能性は低いでしょう。このため、現在の治療や研究においては、患者の精神機能の維持を助けること、行動・心理症状に対処すること、症状の進行を遅らせることなど、いくつかの様々な側面に焦点が当てられています。
アルツハイマー病治療のために、現在どんな薬が利用可能でしょうか?
米国食品医薬品局では、4つのアルツハイマー病治療薬を承認しています。ドネペジル(日本名:アリセプト®、ドネペジル®)、リバスチグミン(日本名:イクセロンパッチ®/リバスタッチパッチ®)、ガランタミン(日本名:レミニール®)は、軽度から中等度のアルツハイマー病の治療に使用されます(ドネペジル(日本名:アリセプト®、ドネペジル®)は、高度のアルツハイマー病にも使用可能)。メマンチン(日本名:メマリー®)は、中等度から高度のアルツハイマー病の治療に使用されます。
これらの医薬品は、ニューロン間の情報を伝達する化学物質である、神経伝達物質を制御することにより機能します。思考、記憶および発語能力を維持するのに役立ち、特定の行動・精神症状の改善にも役立つ可能性があります。しかし、これらの医薬品は、アルツハイマー病の病態そのものの進行に変化を与えるものではなく、人によって有効な場合もそうでない場合もあり、また、限られた期間のみしか効かない場合もあります。
これら4つの承認薬を直接比較した研究は発表されていません。これらの医薬品の作用は類似しているため、ある薬を別の薬へ変更しても、大きく異なる結果は得られないと考えられています。しかし、患者さんによっては、ある薬に対して別の薬より良好な反応を示す場合があります。
行動・心理症状の対処に利用できる治療法はありますか?
アルツハイマー病のよくある行動・心理症状には、不眠、興奮、徘徊、不安、怒りおよびうつ等が挙げられます。現在科学者は、これらの症状がなぜ起こるのかを調査し、それらに対処するための新しい治療法(薬物療法および非薬物療法)について研究しています。行動・心理症状の治療により、しばしばアルツハイマー病の人の気分は落ち着き、介護者にとっては介護がしやすくなります。
可能性のある新しい治療法としてどのようなものが研究されていますか?
米国国立衛生研究所の一部門であるNIAは、アルツハイマー病研究において主導的な立場にある連邦政府関係機関です。NIAにより支援を受けた科学者が、様々な薬剤やその他の介入について、アルツハイマー病の予防や、進行の遅延、症状の軽減に有効であるかどうかを検討しています。
臨床試験とは何ですか?
将来可能性のある治療法についての研究を支援したいと考える人は、臨床試験に参加できる可能性があります。臨床試験とは、人を対象とする医薬品または他の介入の安全性、副作用もしくは有効性について検討する調査研究のことです。試験への参加希望者がいることで、科学者はアルツハイマー病で起こること、また健常な老化で見られる脳の状態について研究することができます。臨床試験の結果は、予防法および治療法の改善のため利用されます。