アルツハイマー病と災害への備えADEARサイト
ハリケーン、竜巻、森林火災、洪水、ブリザード、地震など、様々な自然の猛威について、私たちはますます頻繁に耳にするようになってきました。これらが深刻な混乱をもたらし、多くの人々の脅威となった時、自然災害と呼ばれます。アルツハイマー病患者は、災害時、とりわけ弱い立場となることがあります。記憶力や判断力の障害により、状況に対処する能力が非常に限られてしまう可能性があるのです。介護者にとっては、災害時に備えて、アルツハイマー病患者の特別なニーズを考慮した計画を立てておくことが重要となります。
自宅で「乗り切る」
自然災害に際し、場合によっては自宅にとどまることになるかもしれません。あらかじめ計画を立て、少なくとも3日から1週間の間、家族とアルツハイマー病患者のニーズを満たせるようにしておきましょう。基本的なサービスが受けられなくなった場合に備えて、生活必需品と予備の手段も計画に含めておきましょう。
アルツハイマー病患者のための特別な準備も必要です。必要なものをひとつにまとめ、防水機能のある容器に保管しておきましょう。以下のようなものが必要となります:
- 暖かい衣類
- 頑丈な靴
- 予備の眼鏡
- 補聴器用電池
- 失禁対応用の下着、ふき取りシート、ローション
- 枕、ぬいぐるみ等、本人が抱いておくことができるもの
- 医薬品
- 好みのスナックおよび栄養価の高い飲料
- 医薬品や書類を入れておくためのファスナー付ビニール袋
- 法律、医療、保険、社会保障等に関する書類の写し
- かかりつけ医の名前、住所および電話番号
- 患者本人の最近の写真
また、防災計画の一環として、家族の各人に特定の役目を割り当てて訓練をしてみましょう。その際、アルツハイマー病の人には役目を与えないようにします。家族の誰かに、アルツハイマー病の人を世話する主な役割を担ってもらいましょう。
アルツハイマー病患者のニーズは病気の進行につれて変わるため、防災計画は定期的に見直し、こうした変化を反映させましょう。たとえば、後期の患者は、それまでより動けなくなっている可能性があります。このことはあなたの計画に、どのような影響を与えるでしょうか。
自宅を離れる必要がある場合
地域の避難所や親類の家等、より安全な場所に移動する必要があるかもしれません。アルツハイマー病患者を速やかにかつ静かに移動させる方法を考えましょう。過去にうまくいった方法が使えるようにしておきましょう。
自宅を離れている間、患者は非常に不安になり、いつもと違う行動を始めるかもしれません。できるだけ穏やかに支援してあげてください。患者は、あなたの声の調子に反応しやすくなっています。本人の感情に配慮しましょう。そばを離れず、あなたの手を握らせたり、安心させるよう抱きしめたりしてあげてください。一人にしてはいけません。
避難計画のために:
- 最寄りの緊急避難所までの行き方を確認しておきましょう。特別な支援が必要な人のための避難所を備えた地域もあります。
- 車を運転しない、もしくは運転するのが危険な場合は、家族、友人、隣人、または緊急サービスに移送を頼んでおきましょう。
- 患者には必ず本人証明用のブレスレットを身につけさせるか、名札を衣服に縫いつけてください。
- 通常の防災グッズとアルツハイマー病の人のための緊急キットの両方を持参しましょう。
- 携帯電話の充電器を持参し、電話はいつも充電しておきましょう。携帯電話には、緊急時連絡先を登録しておきましょう。
- 隣人、友人および家族に、あなたの居場所がいつでもわかるように連絡しておきましょう。あなたの電話番号と緊急時の連絡電話番号リストを渡しておきましょう。
- 本人の診療記録の写しを、誰かに必ず預けておくようにしてください。必要があれば緊急医療スタッフに記録を提供し、アルツハイマー病の人が確実に適切な治療や介護を受けられるようにしてもらえます。
- 本人が慣れ親しんだ、気分が安らぐものを持っていきましょう。
- 騒がしいあるいは混乱した状況では、より静かな場所を探す用意をしましょう。
- 徘徊を予防する準備をしましょう。アルツハイマー病患者の多くは、ストレス下ではとりわけ徘徊しがちです。
- 可能であれば、アルツハイマー病の人を落ち着かせるため、ペットの同伴を計画しましょう。
アルツハイマー病の人と離ればなれになった場合
アルツハイマー病患者を一人にするべきではありませんが、予期せぬことは起こるものです。他人に患者を見張っておいてもらうのはできるだけ避けましょう。また、アルツハイマー病患者が1カ所にじっとしていることを期待してはいけません。
離ればなれになる可能性に備えるため、以下のことに留意しましょう:
- 地域の警察および緊急サービスに、本人の写真と診療情報の写しを渡しておきましょう。そうすれば、本人の必要としていることに注意を払ってもらえます。患者と離ればなれになった場合に、警察や緊急サービスに知らせることができるようしておきましょう。
- アルツハイマー病の人には必ず本人証明用のブレスレットを身につけさせましょう。
- アルツハイマー病の人を介助できる、信頼できる人たちと一緒に計画を立てましょう。患者の障害について知ってもらいましょう。患者が従うであろう簡単な指示の例を示しましょう。
- 信頼できる隣人、友人または親戚に、自宅の鍵と緊急時連絡先の電話番号のリストを渡しておきましょう。
自分自身を大事にしましょう
健康を保つことは、アルツハイマー病の人に最善の介護を提供する助けになります。自然災害時にあなたの健康を守るため、以下のことに留意しましょう。
- 適切な栄養と水分を確保する。
- 休養をとる。
- 良好な衛生状態を保つ。
- 医師と薬局を見つける。
- 良い聞き手または精神的な支援を見つける。