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認知症とは何ですか?

認知症とは、認知機能(思考力、記憶力、判断力)と行動能力が、日常の生活や活動を妨げる程度にまで障害された状態を指します。認知症の重症度は、その人の機能に影響が及び始める最も軽度の段階から、日常生活の基本的活動を完全に他人に依存しなければならなくなる最も重度の段階まで様々です。

認知症は、様々な病態や疾患が原因で生じます。高齢者における認知症の原因の上位2つは、アルツハイマー病と血管性認知症です。その他の原因には、前頭側頭型認知症とレビー小体型認知症があります。

さらに、混合型認知症(2つ以上の疾患の合併した状態で、そのうちの少なくとも1つが認知症をおこす疾患であるもの)を発症する人もいます。様々な組み合わせの可能性があります。たとえば、アルツハイマー病と血管性認知症を同時に患っている人もいます。

認知症のその他の原因としては、ハンチントン病、認知症を伴うパーキンソン病、正常圧水頭症、クロイツフェルト・ヤコブ病およびウェルニッケ・コルサコフ症候群などが挙げられます。

血管性認知症

血管性認知症は、アルツハイマー病に次いで2番目に多い認知症の型と考えられており、単発または数度の脳卒中発作後にしばしば起こる、脳への血流が遮られることによって生じます。症状はアルツハイマー病に類似しており、また、両方の病態が同時に出現することもありえます。血管性認知症の一般的な型は、多発性脳梗塞による認知症であり、数度の小さな脳卒中発作によって引き起こされます。

最近の研究では、アルツハイマー病と、血管障害に関連する認知障害とが、密接に関連し合っていることがわかっています。たとえば、アルツハイマー病と診断された人の大部分には、血管障害による脳の損傷も見られます。さらに、いくつかの研究では、血管障害の主な危険因子の多くがアルツハイマー病の危険因子でもあるかもしれないことが明らかになっています。この血管障害とアルツハイマー病との共通性は重要かもしれません。というのも、血管障害の予防に有効であることがわかっている薬剤や、高血圧のコントロール、コレステロールの低下、運動の実践などの生活習慣の改善が、アルツハイマー病の予防にも役立つ可能性があるからです。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、高齢者における認知症のもう1つのよく見られる原因です。レビー小体と呼ばれる異常な構造体(異常に凝集した蛋白質から成る顕微鏡的な沈着または病変)が脳内のあちこちに蓄積すると発症します。この疾患は、意識レベルや注意力の変化、幻覚、運動や姿勢に関する異常、筋の硬直、錯乱、もの忘れなどの多岐にわたる症状を引き起こすことがあります。

レビー小体型認知症の診断が難しいのは、パーキンソン病やアルツハイマー病が、類似した症状を引き起こすためです。研究者は、レビー小体型認知症がパーキンソン病やアルツハイマー病に関連している、あるいは、しばしば同時に発症することがあると考えています。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、前頭側頭葉変性症(FTLD)として知られる脳疾患によって引き起こされる認知症の型です。これらの疾患は、前頭葉および側頭葉と呼ばれる脳の領域におけるニューロン(神経細胞)の障害によって生じます。前頭葉や側頭葉でニューロンが死滅するにつれて、これらの部位は萎縮または縮小します。この障害により、次第にこれらの脳領域が制御している思考や行動に、問題が生じます。異常行動、感情面の問題、意思疎通の問題、または歩行や他の基本的な動作が困難になるなど、様々な症状として現れる可能性があります。

前頭側頭型認知症は3つの型に分類でき、医師が診察の際に確認する最も初期に出現した症状によって定義されます。

  • 進行性の行動・人格の低下…人格、行動、感情および判断能力の変化が特徴(行動障害型前頭側頭型認知症など)。
  • 進行性の言語機能の低下…発語、理解、読み書きなどの言語能力の早期の変化が特徴(原発性進行性失語など)。
  • 進行性の運動機能の低下…身体の震え、歩行困難、頻繁な転倒および協調運動の障害などの身体運動の様々な障害が特徴。